ハン
「…………それも素晴らしいと思いますが、貴女の体型を考えると色はもっと明るい色合いで、デザインも此方の方がお似合いだと思いますよ」
好きな彼女には尽くしたい!そんなわけで彼女と可愛い服を見に来ても、顎に手を添えて真剣な顔を向けるハン・ジュンギ。ああでもない、こうでもない。そうやって彼は彼女の体型や色合いから、最適解の服装を選んでくれるのだが……これはもはやプロデュースの粋だ。「フフ……やはり貴女の事を考えて選ぶのは楽しいですねぇ」……ああ、いや、どうやら、間違いなくプロデュースをされているらしい。しかし、購入した荷物は全てさりげなく持ってくれるし、空いている手は繋いでくれる。
――大切にされているんだなぁ。
そんなことをぼんやり思っていると、繋いだままの手を自分の頬に寄せたハンが、「××さんは……もしかしてつまらなかったですか」と眉尻を下げていい、その拗ねているような甘えた顔に、グッと心臓が痛くなってしまった。
山井
「……ああ?あー……別にいいんじゃねえか」
興味ねえと言わんばかりのその一言。高級店の片隅で、革張りのソファに腰を下ろした彼はなんともつまらなさそうな顔をしていた。……これじゃあ何のためにやってきたのやら。「ふんだ。いいもーん、山井さんの代わりに他の人に聞くから」そう言って辺りにいる店員を探し、近くにいた男性店員に声を掛けようとした瞬間、バサッと頭に上着を落とされた。「これにしろ」短い言葉に、センスの良いコート。いつのまにか前に立った山井さんの起源は分からなかったけれど、彼の瞳は真っ直ぐに私を見ていた。
難波
「おー……いいんじゃねえか。おお、それもいいな。……そいつもいいんじゃねえか」
だめだ、この人なにを聞いてもいいんじゃねえかしか言わない……!折角だから普段は行かないようなところに行ってみようと思って入った女性向けの洋服店。そこに並ぶのはごくごく普通の、綺麗目な服が売られているのだが……先のとおり何を聞いても「いいんじゃねえか」としか言われない。あんまりにも同じことしか言わないので、いちばん際どい――胸元が大きく開いた服を着てシャッとカーテンを開けて「どうですか、難波さん」そう尋ねると、目が大きく開かれて思いっきりカーテンを閉じられた。
「ば……ッなんだよその服は……!」「だって難波さんってば、いいじゃねえかしかいわないから」「そりゃ似合う服しか着てねえんだから、そうとしかいえねえだろうが」
ほほう、おもいのほか愛されているらしい。「じゃあこれは?」少しだけカーテンを開いて尋ねると、彼は口をへの字にして「馬鹿、駄目に決まってる」と言って、もう一度カーテンを閉めた。