付き合ってからの変化

 幼馴染と付き合い始めて数日が経った。
 しかし、元々彼とはグアンハオで出会って以来、二十年近くも一緒にいた仲だ。今更付き合いだしたところで大きく変化があるわけでもなく、今日もまた買い出しにと街へとくり出したが隣を歩く彼はいつも通り、変わらないように見えた。

「ほら。」

 短い言葉と共に街中で差し出された右手。彼の右手を前に首を傾げると、カクは「手、繋がんのか」と私を真似るように首を傾げる。

「え、あ、うん」

 いや、変わっていた。丁度考えていた事が目の前で起きたものだから、思わずぎこちない返事になってしまった。まぁ、手を繋ぐぐらいならいいか。小さい頃なんてよくカクに手を引かれていたし、初めてというわけでもないし。そう思うのに妙な気恥ずかしさを感じた私は彼の手に己の手を乗せることが出来ずに、上げた手のひらが彼の手のひらの上でふわふわと彷徨ってしまった。
 いつまでたっても差し出した手握らずに自分の手を彷徨わせている様に、カクはふっと息を漏らすと口角を吊り上げて不敵に笑った。

「……ははーん…?……さては照れておるな?」
「て、照れてなんかないですけど!」
「本当かのォ」

 カクは言いながら差し出した手で私の手をひょいと救うと指を絡ませて、つないだ手を自分の頬辺りに向けて「ほら、恋人っぽいじゃろう?」と子供みたいに声を弾ませて笑うのだ。
 ああ、これは参ったぞ。
 笑った顔は子供の頃と全然変わってないのに、つないだ手はいつのまにか自分よりも大きく逞しくなっていて、あの頃とはちがう、私の手を引く彼の仕草や表情にどぎまぎしながら初めてのデートが始まっていく。