お土産を買ってきたので

トミザワ
「へー……これが定番のお土産なのか」
ハワイで言うマカダミアナッツか?尋ねる声色は、呆れと言うよりも驚きに近い。ビリビリと包装紙を適当に破いて、箱を開けて。中にある温泉饅頭はハワイほど華やかなデザインではないし、どちらかと言うと渋い。だから、もう少しハワイにならって映えを狙ったものの方が良かったかも……と後悔したけれど、トミザワはそれを興味深そうにみていた。「なぁ、これって中身はなんなんだ?」「へぇ、餡子……こっちはチョコレートじゃないのか」「うわ、意外と柔らかいな。というか餡子の量多くないか?」「あ………っまいな」
なんだか新鮮すぎる反応で、ちょ……っとかわいいような。ジイと見ていると、バチリと視線が絡む。そこでようやく彼も我に返ったようで、気恥ずかしそうな顔で顔を背けると、「仕方ないだろ、初めてのことなんだから」――といじけたような声で呟いた。

足立
「へぇ、こりゃまたいいツマミを買ってきてくれたなァ!」
マスター、酒を!これに合うものにしてくれ!上機嫌に弾んだ言葉に、嬉しそうな笑顔。いかの塩辛とか、鮭のルイベ漬けとか。お父さんが喜ぶよって言われたものをそのまま買ってきたのだが、確かに“お父さん世代”の足立さんはよく喜んでくれている。「お土産ってのは嬉しいもんだなぁ……」「そうか、少ない小遣いで俺にも買ってきてくれたのか」喜びを噛みしめるような、しみじみとしたその言葉。「なんだ、××の親父みたいじゃねえか」――マスターがそう茶々を入れると、彼は「馬鹿いえ、おれがもう少し若けりゃ口説いてたぜ」と言って「なぁ?」と同意を求めた。

澤田
「まさか俺にまでお土産を買ってくるとはな」
当たり障りのないクッキーと、それから野球ボールとバットの二つがついたキーホルダーと“勝”と書かれた勝負お守り。「そういや、学生の時にこういうのつけてたな」キーホルダーとお守りを手にして懐かしむ彼の声色は穏やかな反面、何かそれだけではない感情が見える。……確かに、キーホルダーにお守りなんて子供っぽいお土産だ。もしかしたらイヤゲモノとすら思われているかもしれない。でも、それでも――「澤田さんが活躍するところ、まだまだ見たいんだもん」。
東京ギガンツからワイバーンズへの移籍。球界を代表する名投手の移籍先としては少々不安のあるチームだ。それをわざわざ移籍したのは、きっと彼にも考えがあるのだろうが……。伝えると彼は息を漏らすように笑う。それから「期待を裏切るわけにはいかないな」と言った声は明るく、大きな手のひらが頭を撫でた。