独占欲を見せつけて

「んふふふふふ、アイスバーグさぁん」
「ンマー酔いすぎだぞ、〇〇」
「へへへ、パーウリー」
「ぎゃあ!ハレンチ女来るんじゃねぇ!」
「んふふふふ」

今日も酔っ払いは絶好調。真っ赤な顔でへらへらと笑う〇〇は、ゆらりと立ちあがってアイスバーグと嫌がるパウリーにそれぞれキスをすると、上機嫌に笑って周りに座って酒を煽る男たちを見た。
周りの男たちも、まーた〇〇が酔ってるぞ。と零しているが、若い女からのキスともなると満更でもないようで、次はこっちに来ないかなと下心を露わにちらちらと視線を向けている。

「〇〇」

そこに声をかけたのは少し離れた位置で飲んでいた〇〇の幼馴染、カクだ。

「あれぇ?カクだあ、カクもちゅーしよっかぁ」

酔っ払いはカクの姿を見つけるとぱーっと花を咲かせるように笑みながらよたよたと近付いて、そのままカクの胸元にぼすんと衝突気味に抱き着くや否や、背伸びをしながら唇の端に口付けた。勿論、これはただのお遊びだ。その証拠に〇〇はへらへらと笑って「次はぁ、タイルストンにしちゃおっかなぁ」と次の標的に狙いを定めて其方へと向かおうとしたが、それを人一倍嫉妬深い男が許す筈がない。カクの左手は〇〇の手首を捉えて、少しばかり強く握りしめた。

「遊びすぎじゃのう。」

そうして酔いも冷める地を這うような低い声が〇〇の耳元で囁かれたかと思うと、そのまま唇を塞ぐように、噛みつくようにして荒々しく唇を押し付けられた。何度も角度を変えて口づけ、唇を食み、舌を這わせることで〇〇は喉を震わせて唇を離そうとしたが、カクの空いた右手が〇〇の頭をがっちりと押さえたため、唇を離すことも、息継ぎも許されずに唇から吐息が零れるだけ。

「ん、…っふ、ぁ………ん、う……」

薄まりゆく酸素に思考がぼんやりと霞がかっていく。酸素が欲しいと唇を開けばそこからぬるりと侵入して、生暖かく柔らかい感触の下が口内を這って歯列をなぞり、逃げる舌はすぐに捉えられて弄ばれ、頭の中がじんと痺れる。舌を伝って贈られる唾液を喉に流しながら、くちゅ、ちゅ、と耳に響く水音に〇〇の華奢な腰がびくびくと震えた。
そうして酸素をも許さぬ口づけを続けていくことで〇〇が酸素不足で気を失うというのは至極当然の話で、ずる、と〇〇の体から力が抜けたタイミングで唇を離して腰を抱くことで支えてやれば、

「………ン、まぁこんなもんじゃろう。」

と濡れた唇を舌で舐めて淡々と呟いた。
それから感情の読めぬ黒い瞳は真っ赤な顔で気を失った〇〇を見下ろして、そのまま腰を抱いた彼女をお姫様抱っこで抱え直すと「すまん、わしらはここでお暇させてもらう」と許可を取るでもなく、ただの報告と一緒に二人分のお金を机の上に置くと、返事も待たずに店を出ていってしまった。

「…………こ、……怖ぇ…」

取り残された男たちはいまだ体を硬直させたまま、閉じた扉を見つめて小さく零した。