私って魅力がないから

春日
「そうか?俺ぁはじめ見た時から××ちゃんは可愛いなぁ、綺麗だなぁって思ってたけどなぁ」
お世辞でもなく、心の底から不思議でならないという表情を見せる一番。暫く顎に手を添えて顔を見つめた一番は「目だって、こんなに大きいしよ」「髪の毛だって綺麗にさらさら~とふわふわ~っとしてるし」「あぁ、服もいつもセンスいいんだよな」と言葉を重ね、「唇だってなんつうか、小さくて、柔らかくて……」――と、そこまで言ったところで我に返った。
「って、何言ってんだ俺は…悪い、××ちゃん、今のは忘れてくれ」
そう言って顔を逸らした一番。しかし逸らしても見える顔や頬が存外赤かったので、××もつられて顔を赤くして、なんだか気まずくなってしまった。ああ、お腹がこそばゆい。


「魅力っていうのは自分では見えないものだからねぇ」
穏やかな音色が語る、少しだけ含みを入れた笑い。彼の瞳は細くなって、此方に向けられる眼差しは真っ直ぐで、いつもと変わらないはずなのにこそばゆい。「××ちゃんの魅力はさ、いっぱいあるんだよ。……まぁ、俺は教えてあげないけどね」そう言って笑う彼は、悪戯とはまた違う色を見せていた。

品田
「あらら……随分と落ちた事言っちゃって、もしかして凹んでる?」
ジイと顔を覗き込んで尋ねる品田。彼は暫く見ていたが「……それとも、俺に甘えたい?」そう呟く彼は、なんだかいつにも増して穏やかな目をしていた。

難波
「なんだよ藪から棒に。慰め待ちなら他を当たれよ」
慰め待ちなんて面倒臭い事はするなと言いたげなその言葉。それは何とも付き合いの悪い素っ気ない言葉だが――いまの××はそれを「何よう」と返すだけの余裕はなかった。次の瞬間、難波の瞳が大きく揺れて彼の乾いた手が濡れた目尻を拭った。「……悪い、本気だったのか。……でもよ、本当に馬鹿馬鹿しい思っちまったんだ、お前は俺みたいな半端者じゃないだろ?……いいところしかねえよ、お前は」

トミザワ
「……言う相手、間違ってねえか?」
女子会か?と呆れながら返すトミザワ。その割に彼の視線は××に向いたままで、手にしたグラスの傾きにカランと氷が崩れると、それを皮切りにトミザワが訊ねた。「じゃあ、何が悪いんだ」「え?」「魅力が無いって何か悪い事があるってことだろ?」その本質を探し当てるような物言いと、真っ直ぐな眼差し。少し言葉を詰まらせた後「こうやってウジウジするところとか」と自分で抱いていたコンプレックスに近い自分のマイナスポイントを上げると彼は笑い混じりに言った。「それは、お前が一つ一つ物事を大事に捉えてるってことだろ」「……そうかな」「そうだって」穏やかさを含んだ軽口に、少しだけ詰まっていた息が落ちる。「ほら、次はなんだ。全部こうやって返してやるから」彼の眼差しは、悪戯で、それでいて温かかった。