三が日。学校は当然おやすみで、特に予定もない私とカクは、折角だからと近くにある神社へとやってきた。神社といっても普段はあまり人のいない場所なので、ゆったりと参拝できると思ったのだが流石は三が日。神社は想像以上に人でごった返しになっており、これから並んだとしても賽銭箱までたどり着くには随分と時間がかかりそうな状況にあった。
「うわー……人多いねぇ」
「そうじゃのう…。…どうする、並ぶか?」
カクの視線が私に問いかける。
カクは優しい。今日やってきたのだって、わたしの突然な思い付きだったのに、少し待ってろと言うだけで特に何か言うことも無く準備をしてくれたし、ついでにとクリスマスにくれたマフラーを巻いてくれたし。
まぁ、それが彼なりの甘やかしなのだろうが、それでも人ごみの多い中を連れまわすのは少々申し訳なくて、「んん、折角来たんだし行きたい…けど」と言葉を濁らせると、コートのポケットに手を突っ込んだカクが、前かがみになって私の顔を覗き込んで、「けど?」と問いかける。
「え、あ、いや…その、人が多すぎて申し訳ないなぁと」
そう零すと、カクはふは、っと白い息を吐き出すようにして笑うと「そんなの承知の上で来たに決まっとるじゃろ」と言って、ゆったりと前かがみだった体を戻して背筋を伸ばす。
ううん、やっぱり優しい。それにスマートだ。多分、こういうところが色んな人に好かれるところなんだと思うと同時に、妙に耳がぽかぽかと暖かくなってしまって、「カクって私に甘いよね」と照れ隠しに言うと、カクはまた機嫌よく笑って「そうかもしれんのう」と零した。