🦒カク
腰に紺色のエプロンを巻いて、ビールジョッキをがちゃがちゃ言わせながら、焼き鳥とドリンク運ぶカク。運んだ先にいる〇〇を見て「なんじゃ、また来とったのか。今週に入って3回目じゃろ。」と若干呆れた顔を向けながら注文品を並べるので、「えぇ?カクくん目的かもよ~?」と笑むと、カクは目を丸くして数度瞬きを繰り返したかと思うと、尻ポッケに入れた注文票が挟まる細長いバインダーを取り出して、其処にペンを走らせる。
「そりゃあよかったわい。丁度わしもお前さんが気になっとったんじゃ。」
冗談で言ったつもりなのに目の前のカクはニッと白い歯を見せて悪戯に笑っていて、差し出された注文票にはLINE IDと携帯番号が書かれているので〇〇はまだお酒も飲んでいないというのに熱がぐうっと上がる感覚を覚えた。
「それじゃあわしは戻るが、…あ、今更無かったことに~はなしじゃぞ。」
そう言葉を続けた彼はまた目を細めるようにして笑むと、「じゃあ、また後で」とちゃっかり約束も重ねて仕事へと戻りそう。その日のカクはいつも以上にニコニコだったとか。
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🐺ジャブラ
「おー、なんだ久しぶりじゃねぇか?」
焼き場で焼き鳥をじゅわじゅわ焼きながら、向かいのカウンターで一人酒を飲む〇〇に話しかけるジャブラ。あっつ、と滴る汗を二の腕で拭う姿はまさに眼福。
その様子を肴に酒を飲んでいれば「おまえ、おれで酒飲んでねーか…趣味悪ぃなおい……」と呆れたように言ったが、客相手に口が悪いのも〇〇が常連客だからで、「あ、やべ。一本焼きすぎたわ、おい、皿が空いてるんなら鳥皮注文してくれよ。今なら0秒で出せるぜ。」「お前とおれの仲だ狼牙っ」とか普通に言ってくるので色々とタチが悪い。
途中、別の客が〇〇に「お姉ちゃん一人で飲んでるんならおれと飲もうよ」と絡んでこようものなら「悪いなァお客さん。こいつはおれと飲んでんだ」と言葉に棘を乗せながら黙らせるし、そんなジャブラを見て「飲んでるの?」と〇〇が問いかけると、空のグラスを持ち出して、〇〇が持っている酒グラスにかちんと宛てて「飲んでるだろ」って悪戯に笑ってくれそう。笑ってくれ。
🐆ルッチ
「いらっしゃいませ、何名で。……一名、こちらへどうぞ」
愛想のない顔で淡々とした接客でテーブル席に案内をすると、手慣れた様子でメニューを開いて「こちらをご利用されたことは。」と問いかけるルッチ。とはいえ彼は随分と背が高い。じいっと見上げていると、ルッチはその視線に気づいたように一度此方を見つめたかと思うと、その場で片膝をついて視線を下げてやれば、そのまま何かサービス的な会話をするわけでもなく、淡々と説明を行うルッチ。
そうして注文を受けたルッチはさっさと行ってしまうが、暫く経って追加で頼んだ注文の品を持ってきたルッチに「これっあのっ、凄くおいしいですねっなんていうか、繊細な味でうまく伝えられないんですけど」とこれがおいしかった、あれが美味しかったと感想を頑張って伝えると、「ふ、」と息が零れるような音がして、見上げると僅かに目元を緩ませて「それを作ったのはおれですが、……美味しかったようなら何よりです」と零しそう。まぁ表情はすぐに戻るのだけれど。
その後調理に戻ったルッチは無表情で黙々と調理をするけども、「……、…ふ、」と思い出し笑いをしてジャブラたちから「うわ、気持ち悪い」「なんじゃ明日は槍でも降るんじゃないか」とかひそひそ言われていてほしい。
🦁クマドリ
入店して着席早々「うわ、可愛い。ねぇ一人ならこっちで一緒に飲もうよ」とナンパ男に絡まれる〇〇。はじめは言葉での誘いだったが、次第に距離を詰めるナンパ男は〇〇の腕を掴み「ね、いいじゃん。一人で飲むって寂しいでしょ」と誘いを向けられて、嫌だ、怖い、と思っているところに、すっと自分とナンパ男の間に真っ白な、それこそ白塗りしたような手が差し込まれて「ア、お客さん、そいつァいけ~ね~ぇ~なァ~~?」という言葉が降って来る。見上げれば桃色の髪を頭上でお団子にした巨漢ともいえる男が立っており、ぎょろりと此方を、いや、ナンパ男を見下ろすと「人様に迷惑だけはァ、かけちゃあいけねぇと故郷のおっかさんが言ったんじゃあねぇの~~か~~?よよぉい!!」と言えばチャラ男客もたじたじなご様子。「も、もういい、会計!」とかなんとかいってナンパ男が席を立てば妙な事をしでかさないよう「相、分かった、合点承知の助!3番テーブルお帰り~~だァ~~」と会計まで連れていきそのままご精算。※なお、お帰りの合図を出すと働いている皆が「ありがとうございましたー!」って言ってくれそう。
その後は「ア、怖い思いをさせて、悪かった~~なァ~、詫びといっちゃあなんだが、これを貰ってはく~れ~ね~ぇ~か~」といって、小鉢と焼き鳥セットを奢ってくれる。普通にいい人すぎるのでお店に行くたびに挨拶して話すようになると、いつしかにこにこ顔でドタドタ走ってやってきてくれるように。