彼の行方

 竜人族は二千年生きる長命族だ。だから、腐れ縁とも言える同僚たちを看取っていくことは自然な展開ではあったが、ただ一人、ロブ・ルッチだけはその流れに沿うことが出来なかった。

 晩年の彼は、ふらりと消えたのだ。当然、彼ほどの能力者となれば世界政府総出の捜索が行われたが、その身が見つかる事は無く、彼が亡くなったと分かったのは、ネコネコの実が新たに誕生したことがきっかけであった。
 その実は新たな者へと引き継がれ、彼は幾多の実績を持ちながらも歴史に名を残される事なく、書類上からも抹消されたと聞いたが、果たして彼は何処へ消え、何が原因で亡くなったのか。

「ねぇ、ルッチはどうして最後に失踪したの?」

 数千年の時を経て、現代へと転生をした先で訊ねる。唐突な話題にしては随分と重いものであったが、ロブ・ルッチは表情一つ変えやしない。それどころか、一瞥すら寄越さずに手元にある小皿にハットリ用の豆をざらざらと乗せてやると「お前に言う必要があるのか」と静かに尋ねた。

「え?あぁ、ううん、ただ少し気になっただけ」

 まぁ、単なる興味本位の質問だ。特に彼が答えようが答えまいが前世の死因が変わる事は無い。ただ、なんとなくそれが寂しいようにも思えて「今世は消えないでね」と零したが、彼は鼻で笑うだけで答えを返す事は無かった。