小さなドラゴンを拾いまして

「こいつは一体……」

 神奈川県警捜査第一課・刑事 渡辺基祐(わたなべ きすけ)は眉間に深い皺を刻み込んで言葉を失っていた。それは、凄惨な殺人現場を見たわけでも、思わず嘔吐してしまう程の遺体を見たからでもない。この世には居ない筈の、空想生物を目にしたからだ。

「ねぇキスケ、わたし、おにぎりもっとたべたい」

 夕飯と共に帰宅したおれは、ローテーブルの上で握り飯をぺろりと平らげた空想生物を見る。岩を纏ったような固い外皮を持ち、背中には雄々しさを感じる翼をもつ生き物は、恐らくドラゴンと言う奴だろう。そいつはまだ腹が膨れていないのか、柔らかそうな腹を摩ったかと思うと此方にどてどてと近寄り、先の尖った黒爪が目立つ手で俺の指を掴んで強請る。

だが、そもそもおにぎりなんて与えても良いのだろうか。検索するにも、ドラゴンにおにぎりを与えてはいけません、だとか、おにぎりの好物は昆布です。――なんて書いてあるはずもなく、仕方なしに「お前、おにぎりなんて食っていいのか?」と直接問いかけると、そいつは金色の瞳をしぱしぱと瞬かせながら「おにぎりは前にいた世界でも食べてたよ」と零す。いや、あるのかよ、おにぎり。

 色々突っ込みたいが、なんせ相手は空想生物、真面目に考える方が馬鹿なのかもしれない。

「だからちょうだい」
「そもそもあれはおれの夕飯だったんだが」
「ないの?」
「あるけどよ」
「おなかすいたなー」
「……」
「キスケ……」

 その時、おれは子どものころに飼っていた犬のことを思いだした。あいつは随分と長生きをして、おれが警察になるのを見届けてから死んでしまったけれど、あいつを飼うことになったきっかけは、寒空の下で段ボールに入っていたあいつをおれが拾ってきたんだっけ――。そう。つまり、何が言いたいかと言うと、おれはどうにも弱い生き物に弱いらしい。金色の瞳でジイと見つめられると、それを突っぱねる事も出来ずにため息が落ちた。

「あー…もう…面倒なのを拾ってきちまったな…。…分かった、じゃあお前はこれでも食え」

 仕方なしに出したのは、帰宅間際にコンビニで購入したペットフードだ。封を切り、ざらざらと小皿に出してやるとそいつはしげしげとペットフードを見つめて「これってドッグフードじゃないの?」と不服そうな顔をしていたが、余程腹が減っていたのだろう。器用に長い爪でペットフードを挟んで口の中へと運ぶと、かりこりかりこりと咀嚼を繰り返し、小皿にあるものをしっかりと食べきってから「美味しくなぁい…………」と舌を出して全力でまずいって顔をした。

「キスケ~~やっぱりこれ美味しくないよ~~~」

 不味いのなら一つだけにしとけばよかったのに、なんで全部食べてしまったんだ。食いしん坊なんだか、真面目なんだか。そのちぐはぐさが笑えてしまって「なんだ、お前案外贅沢だな」と笑ったおれは、舌を出すそいつを労わるように、顎下を指先ですりすりと撫でるのだった。


おまけ
■余談
nbさん絶対に小さい頃に犬飼ってたでしょ。私知ってるんで。雑種犬飼って、コロとかサスケとかなんかそういう名前つけてたでしょ。
あとnbさんは「幼馴染がいてね…」って言ったらうんうん話を聞くけど、全然話が終わらなかったら「分かったからとりあえず今日のとこは寝ろ」って諭してくれそう。

■ちい竜とみんなの反応
桑名はすりすり顎下を撫でてラーメン食べさせてくれるし、なんだかんだ甘いので色んなところに連れて行ってくれるけど、相馬は即・鳥籠にいれるし、黒岩は尻尾を踏む。
あと、黒岩はおやつとか餌とかくれないけど、ちい竜が食べ物をどこからか持ってきて、食べていい…?って恐る恐る聞いたら勝手にしろっていいそう。そしてk黒岩のデスクはお菓子の粉まみれになり、ちい竜は首根っこを掴まれるってわけ。

杉浦くんはにこにこで可愛がってくれるけど、しっかり者なので、ちい竜が太ってきたら「ちょっと皆、餌とかおやつとかあげすぎ」としっかり健康管理してくれそう。
東はなんだかんだ甘いし甘すぎるので、仕方ねぇな…!!といいながらおやつくれると思う。kituさんは甘すぎるから「なんだ、仕方ねぇ奴だな」といいながらにっこにこでたくさんおやつをくれるし、たくさん遊んでくれたらいいな…。