無防備に眠っている彼女を見つけたら。

山井
「オイ、××……」
疲れたのか、それとも温かい木漏れ日を受けて眠気に誘われたのか。××はソファで横になって眠っていた。気持ちよさそうに眠る顔に、小さく続く寝息。……流石に付き合ってもいない男の前で眠るのはいかがなものか。試しに声を掛けても反応は無し。それどころか身じろぎすらせずに眠っているのは、深い眠りに入っている証拠であろう。彼女の長い睫毛は下を向いたままであった。
「……呑気なもんだな」
――であれば、何をしたって。腹の底から滲んで広がるドス黒い感情と、伸ばした手。「××、起きろ」筋張った手が彼女の顔横について、ギシリとソファが軋む。しかしそれでも彼女が目覚める事は無く、呼応するように「んん、山井さん……」と呑気な寝言が聞こえれば、山井は瞬きを繰り返したあと息を落とし、隣に腰を下ろして上着を彼女の上に落とした。

トミザワ
「猫かよ……」
心地よい風が流れる縁側で、スヤスヤと眠る彼女を見る。心地良さそうな寝顔と、心地よく響く風鈴の音。首を振る扇風機から送られる風は心地良く、これがジャパニーズサマーなのかと思うが扇風機の風が彼女に当たっていないような気がする。「コレ、ぶっ飛んだりしないよな……」恐る恐る扇風機の上部を触って、首を下げて、ついでに強さも一段階上げてみる。相変わらず××は呑気に寝たままで起きる気配はなかったものの、こうやって隣に並ぶのも悪くはない……のかもしれない。「なんだ、起こさなくていいのか」その様子を見て、不思議そうに言いながら団扇を差し出す難波。「いいよ、別に。車の運転もしてたし、疲れたんだろ」その声色はどこか穏やかで、「優しいねぇ」と含みを持たせて返されると、トミザワはウッと言葉を詰まらせた後、「……別にいいだろ」そう言って、団扇で自分の顔を隠した。

一番
「あー……いつのまにか寝ちまったのか……」
ムクリと身を起こすと、昨夜を共にしたナンバや足立さんの姿がなくなっていた。残っているのは空になった酒瓶と缶と――隣で身を寄せて眠る××ちゃんの姿。……そうだ、そういえばきのうは××ちゃんも一緒にいたんだった。「××ちゃん、こんなところで寝たら風邪引いちまうぜ」声を掛けながらも、何も敷かずに身を寄せて眠る姿に、思わずウッと言葉が詰まる。僅かに聞こえる寝息も、スカートの裾から伸びる白い足も無防備そのもので、多分、俺じゃなかったらヤられていたと思う。
俺は毛布を手繰り寄せて彼女の身体にかけてやる。それは彼女への気遣いであったし、――俺への気遣い的な気持ちもあったと思う。モソモソと身を縮めて頬を緩めるその姿は愛らしいの一言でしかなかったが、「――ナマゴロシもいいところだぜ」。それでも手を出す事はしない、ただ、恐る恐る近付いて額へとキスをすれば「これぐらいは許してくれよな、××ちゃん」そう言って、もう一度隣にゴロンと寝ころんだ。