猫の日②

 なにがどうしてこうなってか、ソファに座る私の上に跨るカクを見上げて息を飲む。小麦色の短く切りそろえた頭には人間のものとはかけ離れた猫耳が生えており、恐る恐る手を伸ばしてふれると指先を柔らかい毛が触れて、ぴるるっとこそばゆそうに揺れ動いた。

「…………キリンさんじゃなくて猫ちゃんになっちゃったね」
「そうじゃのう」
「…………あ、まって猫耳ってことは尻尾も生えてる?」
「うん?あぁ、生えておるが」
「さ、触っていい?」
「別に構わんが…」

 言いながらカクはズボンに指を引っかけて少しばかり隙間を開くと、隙間からするりと尻尾が伸びる。細身で長い、小麦色の尻尾は耳から手を離した私の手に挨拶を交わすようにするりと手首に絡む。それがなんだか可愛くて指先でつんと突いたあとにゆっくりと手のひらで握ってみると、上に跨ったカクの足が僅かに揺れる。それがなんだか珍しいように思えて視線をカクに戻すと、カクの瞳はうっそりと笑っていた。

「……カク?」
「……わはは……いかんのう」
「?何、が――」

 言葉が途切れる。それは上に跨ったカクが私へと身を寄せて首裏に腕を絡めたからで、甘えたように抱き着くようなその仕草に、心が弾む。普段こうやって甘えないくせに、一体どうしたのだろう。尻尾を触りながら、時折根本の感触を確かめるように握ると耳元に寄せられた唇がはぁと熱い吐息を吐き出して、それが欲情によるものだと気付いたのは、ざり、と細かく粒立った猫のような舌が耳に這い「……ほれ、スイッチを入れたのはお前じゃぞ、責任もって触ってくれんと」と囁いたあとだった。