ガイ
「なぁ、××。クリスマスに欲しいものとかないか?」
だって折角のクリスマスだろ。ミアレに来て初めてのクリスマスだし、何よりいつも世話になってるからさ。なんかあげたいんだよな。真っ向から照れもなく尋ねるガイ。その声はどこか落ち着きなく弾んでいて「ガイ、……何か楽しそうだね」と尋ねたのは不自然ではなかったと思う。それに彼は口端を吊り上げて、「バレたか。でも、この時期ってなんか街中も浮足立っててウキウキしないか?」とどこか少年のように悪戯に笑った笑うと──フと思いついたように目を輝かせた。「そうだ、このあと一緒にクリスマスマーケットに行こうぜ!ミアレのクリスマスマーケットもすげえ楽しいからさ」思い立ったらすぐ行動の彼は相変わらずだ。私が頷くと彼は表情を明るくして笑み、「よし、じゃあ早く行こうぜ」とさりげなく手を取って、歩き出した。
カラスバ
「なんや欲しいものとかあらへんの?」「無い?……はぁ、随分と尽くすタイプみたいで泣けてまうわ」
とつぜん欲しいものはないのかと尋ねられても困る。相手はサビ組で、そのトップで。何より先の件も解決したばかりの状況。尋ねた意図も分からずにぎこちなく首を振るう。それに息を吐き出した彼は、ひとつふたつと向けられた警戒心を悟り嫌味こそ零したが、向けられたものを放置することはない。まずは彼女との距離を縮めて、しっかりと目を合わせて。「サビ組のためにも、ほんでこのミアレの為にも奔走しとる相手を貶めるほど、おれは落ちとらん」「ただ、オマエのことを気に入ったさかい、特別にカラスバさんから労りがてら渡したい思うてな」言いながら彼女の髪の毛を掬う彼は、いつもはつり上がった眉尻を下げて幾分か落ち着いた声色で言った。
「……そやけど、要らへんものを渡されても困るやろ。オレは今の流行りもんなんて知らんしなぁ……何がええ、××」
ネズ
「もうすぐクリスマスですけど……何が欲しいです。おれが選ぶより聞いた方が確実でしょ」
ゆったりとした二人だけの時間。椅子に腰を落ち着けて、ギターの手入れをしているネズの視線は手元に落ちている。その割に肝心の手は動いておらず。回答がなかなか戻ってこないと、視線を上げた彼の長いサイドヘアーが振り子のように揺れる。「聞いてんですか、××」その瞳はどこか不機嫌なような、気恥ずかしさも滲んでいるような。思わず「ネズさんって可愛い」と呟いたのは失言だったか。彼は表情を顰めると小さく息を吐いた。「決めました、クリスマスプレゼントは歌にしましょうかね。とんでもなくお前が恥ずかしがるような歌詞で」──そんな最高なプレゼント案をつけ足して。
「ええっ、ネズさんそれ最高なんだけど!」「……嫌味のつもりだったんですけどね、どうにもお前はそれが分からねーらしいですね」「えへへ、楽しみだなぁ」「オホン、逆に高くついたかもしれないですね…」
ヤロー
「クリスマス、何がほしいですか?ぼくも色々と考えてみたんですけど、いまいちこれだっていうものが見つからなくて」
なんとなく、ヤローさんはこういう行事ごとに疎いと思っていた。普段は農業とジム関係の仕事ばかりだし、オシャレなところには寄り付きもしないし、興味もないし。だからこそ彼からの提案には思わず驚いてしまった。「えっと、あの、ヤローさんから頂けるんですか……?」呟くと、彼はいつものようにニコリと笑う。「もちろん!クリスマスにはプレゼントが必要でしょう、ぼくもいつもお世話になっている××さんにはあげたいんだな」言葉は終わらない。「農業はどっしり構えて粘り腰ですが、色恋に関しては積極性も必要ですからねえ。そろそろ、意識してもらわないと──」そう笑う言葉に、なぜだか腰の当たりがゾクリと震えた。