ピュール
「クリスマスプレゼント、で、……に値するか分からないんですが、どうぞ」
明らかに緊張し、言葉を探すように視線を泳がせながら、ピュールはそっとフルオーダーメイドの洋服を差し出した。暖かそうな手編みのマフラーに、体に合わせて仕立てたコートや衣服の数々。指先を落ち着かせるように一度息を吸い、「少し、いいですか」と囁くように言った彼は彼女の髪に触れる。
ほどけないよう丁寧に編み込んでいく指の動き。それはひどく慎重で、仕上がりを確かめるようにそっと撫でる声には、ほっとしたような、どこか照れた安堵が滲んでいた。
「……うん。いいですね」
それに対して「可愛い?」と尋ねたのは、ただの確認。しかし、それに目を瞬かせた彼は顔を僅かに赤く染めると、視線を逸らして「……当然じゃないですか」と不器用に答えた。
(その後ピュールはクリスマスマーケットに出かけるも、好きな人に自分が手掛けたものを着てもらうっていいな……眼福……と夢主を見ながらココアを飲んでる。その後は彼女を着せ替えすることが趣味になったとか)
ジプソ
「まさかここまで人が多いとは……少々歩きづらいかもしれませんが、腕を掴んでいてくれますか」
クリスマス当日。クリスマスマーケットは想像以上に人で溢れかえっていた。ポケモンと人々が共存して楽しむ一帯。参加する人々は決して恋人たちばかりではないようだが、それでも目につくのは身を寄せ合う恋人たちが多く、視線を落とした先には長い尻尾を絡めて求愛しているアーボの姿も見える。「ふふ……今日はカップルが多いですね」ジプソの指示通り、彼の逞しい腕に手を添える。その言葉にジプソは視線だけを此方に向けたかと思うと、フッと息を漏らしながら口角を吊り上げて「ワタクシたちも同じでしょう」──と少しだけ、意地悪を含んで呟いて「もう少し恋人らしいことでもしましょうか」と歩き出した。
ネズ
「クリスマスに出かけないなんて、随分と欲が薄いというか……変わってますね」「……まぁ、別に悪いとは思ってねーですよ。おれもゆっくりしたいと思ってましたし。……紅茶でもいれましょうかね」
お互いにインドアであることを理由に、クリスマスは家でゆっくりとすることに決めた。それは外に行く事だけがデートではないという理由から。彼もそれを聞いて興味があるんだか無いんだかの様子で息を落としていたが、紅茶を用意した彼はカップへと注いだ後、隣へと腰を下ろす。その距離の無さに柔らかいニットセーターが触れあうと、思わず緊張が走り背筋を伸ばすと、ネズは目を細めた後「取って食いやしませんよ、まだ昼間ですから」そう続け──、顔を覗き込みながら僅かに笑んだ。
ワタル
「さあ、××……手を」「このクリスマスマーケットは人が多いからな、はぐれないようにさ」
勇気を振り絞って憧れの人を誘う!と意気込んだのに、まさか相手から誘われる事になろうとは。それも紳士的なエスコート付で、彼は手慣れた様子で手を差し伸べる。赤や緑、黄色──煌びやかな装飾を背景にした彼は思わず見惚れるほど恰好よくて、差し伸ばした手を掴むまでに随分と時間がかかってしまった。「××?」不思議そうな声が言い、彼の手が私の手を迎えにやってきて、下から掬うように持ち上げた。「そんなに見られてしまうと、流石に緊張するな」「あ、ご、ごめんなさい……まさか、ワタルさんから誘ってもらえるなんて、夢みたいで……」呟くと、彼は手を優しく包み込むようにして握りながら目を細めた。「折角のイベントだからな、……この機会を逃したくはなかったし」「ましてや、キミを他の誰かに渡したくもなかったんだ」
──それって、つまり、その。その言葉は過度の緊張から喉で止まって表に出ない。しかし、それすらも見透かしたように笑う彼は「……はは、迷惑ではないようで良かったよ」と僅かに頬を緩めて、肩を揺らした。