可愛いあの子にお年玉をあげようね

カラスバ
「なんや自分、そないに楽しみにしとったのに可哀想になぁ」
お年玉~いうてな。握った拳が頭の上にコツンと落ちて、カラスバさんを睨む。お年玉が欲しいとはいったけれど、メテオの方が欲しいわけではない。実家に帰るタイミングを失って、今年分のお年玉をもらえず、ヒリついているせいかくだらないシャレをワハハと笑う事は出来ない。「カラスバさんの意地悪、もういいですー」そういって踵を返すと、彼は手を掴んで引き留めた。「ちょい待ち」「……なんですか、もうさっきみたいな頭コツンはいらないですからね」「もうせえへんて。……ただなぁ、流石にサビ組から金をやるわけにはいかへんさかい、なんかええ感じの店で奢ったる。それも一戦バトル付きで。どや?」「……最高!」

ジプソ
「……ワタクシから貴方に金銭を渡すわけにはいきませんが……少々お待ち下さい」
言いながら踵を返してエレベーターを上がったジプソ。辺りに居る構成員たちも顔を見合わせて「何を渡す気なんだろうな」「さあ、流石にお金じゃないだろうけどね」と話す。戻ってきた彼が手渡したのは、膨らんだ紙袋。覗くと、なんだかいっぱいのお菓子が入っていた。「……これくらいしか渡すものがなく……」「いいんですか?」「ええ、あけましておめでとうございます」……ジプソさんって、やっぱり真面目だ。

カブ
「はい、少ないけどこれで何か好きなものを買ってね」
お年玉文化を知っているカブさんから渡されたポチ袋。赤い炎とマルヤクデが描かれたそれは、なんともカブさんらしくてつい笑いが零れてしまった。「あはっ、ありがとうございます。このポチ袋可愛いですねぇ」「そうかい?いや実は、ポチ袋自体は毎年買っているんだが……たまたま出先で見かけてね。ぼくもこれが一番可愛いと思ったんだ」嬉しそうに表情を綻ばせるカブさん。むしろそんなカブさんの方が可愛いような──ジイと顔を見上げると、彼は疑問符を頭上に掲げたあと少しばかり気恥ずかしそうに眉尻をハの字に垂らした。「いや、年甲斐にもなくはしゃいじゃってすまないね」「いえいえ、きっとマルヤクデも自分の絵柄にしてくれたって喜ぶと思いますよ」「はは、そうだと嬉しいな」

ワタル
「あけましておめでとう××。少ないが、これ」
言いながら渡されたお年玉。彼もまたお年玉文化を知っているようだが──ポチ袋が、厚い。「少な……くないですよね、これ」「……」「な、なにか言って下さいよぉ……」「ははは」ワタルさんはどうにも悪戯気質なところがある。その分、目をかけてくれているということであろうが、果たしてこのお年玉を貰えるほど私は彼に何かしてあげられているのか。「ワタルさん、何かしてほしいことがあったらいってくださいね」呟くと、ワタルさんは少しばかり驚いたように薄く目を開いた後、フッと息を漏らすように笑った。
「そのつもりで渡したわけではないんだが……そうだな、それじゃあ新年の初バトルでもしようか」
そういって穏やかに語る彼の目は──どこか、楽しそうだった。

ネズ
「お年玉文化なんてガラルにはねーですから、特に用意はありませんよ」
ただお年玉の話をしただけで欲しいとは言っていないのに、スッパリと釘をさすネズ。「別にこういう文化があるって話ですってば」流石に身内でもない人にお年玉を貰おうなんて事は考えてない。それなのにネズさんは信じているんだかいないんだか、フウンと鼻をならして「そうですか」と呟くだけ。「……まぁでも、お年玉文化はなくとも、あげてはいけないなんて決まりはないか」「え?」「××、食事にいきますよ」「え???」