いいえ、それは愛ゆえに

 ワノ国へと訪れた初日。二階に用意された部屋で肘掛け窓のヘリに腰を下ろしたわしは、賑わう外を見下ろしながら、足元で足の合間に座るアネッタの頭を撫でる。裾に淡い色合いの花を散らした縹色の着物を纏うアネッタは、足を開いたことで着流しからはだけた太ももを指の腹でつうとなぞると、其処に唇を寄せた。

「うん?」

 触れる唇から伝わる僅かなこそばゆさ。一体何のつもりだと問うように彼女の頬に手のひらを滑らせると、彼女はそれに心地よさそうに頬を寄せるだけで、「ただの悪戯。」と金色の瞳を細めながら笑った。

「フフ……可愛い奴じゃのう。いつからお前はわしの犬になったんじゃ?」
「うん?……首輪をつけたのはカクなのに、いつから~なんて聞くのは酷いんじゃない?」
「わはは!わしゃ、そこいらの犬に首輪なんてつけんさ」

 彼女の首に通されたそれに指を引っかけて指を引く。彼女は引き上げられる動きに逆らうことなく床に膝をついて身を起こすので、指で首輪を引いたまま、彼女が持つ角の根本にキスを贈り「いい子じゃ」と囁いた。