趙
「へぇ……××ちゃんがアルバイト……。ねぇ、シフトはいつ入ってるの?毎日?それとも休日だけ?」
驚き意外そうに瞬いた後、話の延長戦といった様子でさり気無くシフトを聞き出す趙。「下心が透けて見えるな……」「やだなぁ、俺は君たちと違って健全だから」仲間内からの突っ込みにさり気無く他には下心があると見せる姿は腹黒く、これは勝てないと一番たちが口を噤む中、趙は一人呟いた。「俺、毎日通っちゃおうかなぁ……勿論、××ちゃんに会いに」「?!じょ、冗談がお上手で……」「はは、案外冗談じゃないかもよ?」俺ってば素直だから。……まぁ、今はまだ本心を全て見せてやる気はない。ニコリと愛想よく笑みを浮かべた趙は、彼女の頭に残るよう意味深に呟いて、頬を染める様子を上機嫌に眺め続けた。
難波
「へぇ、いいんじゃねえか。何事も経験だからな」
それに、他でもないサバイバーなら安心だろ。一体どの目線からの言葉なのか。カウンター席でグラスを傾けて丸い氷を滑らせる難波は、どこか機嫌が良い。……まぁ、何かと普段から口煩い彼の事だ。先のとおりこの店であれば信頼できると言う事なのだろう。「ふふ、サバイバーで働いていたら難波さんともっと会えますね」そう言うと、難波は言葉を詰まらせたあと、露骨に口をへの字に噤んで視線を逸らすと、顔の中心に熱を集めながら言葉を濁らせた。「……馬鹿、そういう事を言ってんじゃねえよ」
ハン&マスター
「それはつまり……××さんの手料理なども頂ける、ということでしょうか」
確かに、このサバイバーは材料さえ用意すればマスターが弁当にしてくれるサービスが在る。それも今は弁当に留まらず、花を用意すれば花束にしてくれるサービスもあり、「一体ここは何屋なんだ」という突っ込みはこのサバイバーでよくみられる会話だが……それはつまり店員となった彼女もそれを請け負うと言う事ではないだろうか。××は瞬いたあと、マスターを見て尋ねた。
「そうなんですか?」「……あれは俺が好きでやってるようなもんだが、まぁ、お前がしたければやっても構わない」その言葉に、頬を緩める××。「私、料理も好きだし、それにアルバイト募集がなかったから出来なかったけど、お花屋さんになることも夢だったんです!」嬉しそうに夢を語り、目を輝かせる様子にマスターが息を漏らして笑みを返したあと、ハンの手がそっと彼女の袖を引いた。「××さん、これから私があなたに贈る花をお願いしてもよろしいですか?」あなたに贈る花であれば、練習もしやすいでしょう。その言葉は穏やかで、向ける眼差しには熱がある。思わず言葉を詰まらせながらも頷くと、隣に立つマスターが笑い、「早くも固定客がついたな、××」と茶化した。