「ねぇ、飲み過ぎじゃない?」
私を足の間に置いて後ろから抱きしめるカクに向けて問いかける。布越しでも分かるほど暖かい体温に、そろそろ彼はおねむなのではないかと思ったのだが、彼は「ん〜〜〜〜そうかのう。」と間延びした生返事を返すばかりで、私が立ちあがろうとしようものなら腕に力を込めて拒んでくるのだから、どうしようもない。
とりあえずテーブルに置かれた酒瓶を届かない奥へと押して、代わりに水を注いで彼に差し出したが、彼はちらりと顔を上げては「口移ししてくれるんなら飲む」とか甘え切った戯言を零すではないか。
「なに馬鹿なこといってんの。」
「口移ししてくれんのなら飲まん。」
「はぁ~~~?」
なんだこの酔っ払い。普段こんなに甘えないくせにでろでろに泥酔した彼はそういって唇を尖らせると、私の項にぐりぐりと頭を押し付けてきた。その上、背中にはばっきばきに勃った固いものを押し付けてくるし、熱いしで苛立ちと動揺が入り交じった私の感情はぐちゃぐちゃだった。まじで彼の酔いが冷めるほど怒るべきだろうか。そんなことを考えながら受け取られなかったグラスをテーブルに置いていると、不意に腹に彼の大きな手のひらが触れて、かと思えば布越しに腹を撫でるので肩が僅かに揺れてしまった。
「…ここに沢山出したのう、ぐちょぐちょで……掻き回して……はー…あれはたまらんわい…」
吐き出された言葉は事実ではあるが紛れもないセクハラだ。
彼は顔を上げると熱に浮かされたように真っ赤な顔で、どこかうっとりと悦に入った表情をしながら「あの時の〇〇といったら、可愛かったのう」だとか「なのに○○ときたらいくら中出ししても全然孕まんのじゃ。子をこさえたらいよいよ離れられないと思ったんじゃが考えが甘かったんじゃろうか……」としみじみといった様子で昔話のように語り始めるので目も当てられないというか、なんというか。
耳元で吐息交じりに紡がれたその言葉に、熱湯を被ったように一気に熱を集めた私はもう言葉が出ずに、金魚のように口をはくはくとさせるしか出来ずにいると、其処に「だああああお前らの性活なんて聞きたかねーんだよ…!!」というジャブラの怒声じみた声が割り込んだ。
そう、今この場はCP9の飲み会の場なのだ。
「いいかカク!もうそれ以上言うんじゃねぇ!!」
セクハラでしかねぇよ!と正論をかますジャブラにゆるりと緩慢な動きで視線を向けたカクは、じとりと睨みつけたかと、子どもみたいに口をへの字にしてから私を抱く腕に力を込めた。
「何おう…ジャブラは知らんのじゃ、わしと○○の…」
「わー!もういいから!!!」
ただし、どんなに止めようが彼は泥酔者だ。ジャブラの激怒にも怯むことなく、むしろ売られた喧嘩は買う構えを見せたので、私はこれ以上の罪を重ねるなとぐるりと体を反転させてから、彼の口を両手で押さえると、彼が此方を見つめてながら不満そうに眉を吊り上げた。
「んむ、……んー!」
「カクはもう喋らないで。本当に。まじで。」
何か言いたげだが、これ以上彼を喋らせるわけにはいかない。
そうして彼の唇を塞いだままでいると彼は此方をじとりと睨みつけると、そのまま犬が鼻で手のひらを押すようにしてぐいぐいと私の手のひらを押して、そのまま後ろにどてんと転がされてしまった。そこにぬうっと迫る影。灯りを遮るように覆いかぶさったカクは私を見下ろすと怪しく笑った。
「今日はツレんことを言ってばかりじゃのう……こりゃあ躾が必要じゃろうか」