〇〇と付き合い始めて数か月が経った頃、チャンスが訪れた。養護施設にいる子供・管理者が全員外出に出たのだ。残されたのはわしと〇〇。となったら、〇〇に触れたいと思うのは当然なわけで、なのに〇〇といったら「今のうちに掃除ができる!」といって掃除は始めるわ、お菓子作りを始めるわで全く手隙になりやしない。結局、痺れを切らしたわしが彼女を捕まえることになったのだが、手首を掴んで捕えた彼女は、この二人っきりという環境が何を意味しているのか分かっていたようで、髪から覗く耳は真っ赤に染まっていた。
「………あの、その、ま、まだ掃除が」
「別にそんなのはみんなが帰ってきた後でも良いじゃろう。」
「いや、でも……」
「……そんな耳を赤くさせといて、わしが何をしたいか分からないとは言わせんぞ」
〇〇の言葉が詰まる。そうして、〇〇を自身の膝の上に座らせたわしは周りの目なんて気にせず心置きなくキスを重ねる。触れた唇は柔らかくて、隙間から零れる彼女の吐息も単語にすらならない音も愛おしくて、つい何度も貪るように角度を変えて口づけの回数を重ねるのだが、経験のない〇〇にとっては少し苦しいものなのかもしれない。まぁ、そんな蕩けた顔で駄目と言われたところでわしを煽るだけなので、たとえ彼女がわしを拒んでも今日だけは聞いてやらないのだけれど。
「……ッぅ……ん、……」
「口、開けてほしいんじゃが」
「……っ」
なんで、と野暮なことを聞かないあたり口を開ける理由を知っているのだろう。
全く愛らしくて敵わんと、笑うわしに彼女は蕩けた瞳で薄く口を開くので、もう少し、もう少しだけこの時間が続くように祈りながらキスを深めて独占欲を滲ませた。